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新・立命館大学戦史研究所

立命館大学の登録団体である立命館大学戦史研究所の公式ブログ。戦史研の活動再開とともに復活!

 

今日の辞世の句 

Call Me Trimtab

私をトリムタブと呼んでくれ

バックミンスター・フラーの墓碑銘。バックミンスター・フラーはアメリカのマサチューセッツ州出身の思想家、デザイナー、構造家、建築家、発明家、詩人。フラーはその生涯を通して、人類の生存を持続可能なものとするための方法を探りつづけた。 全28冊の著作によって、「宇宙船地球号」、エフェメラリゼーション、シナジェティクス、デザインサイエンスなどの言葉を広めた。 デザイン・建築の分野でジオデシック・ドーム(フラードーム)やダイマクション地図、住宅のプロトタイプであるダイマクション・ハウスなど数多くのものを発明した。彼の生涯は、商業関係のさまざまな仕事を転々としたあと、1922年に、安あがりで効率のよいシェルターを作るための構造システムの仕事を始めるが、それは建設に手間がかからないと同時に軽量で、大きなスパンを覆うことのできるものを目指していた。その成果が、第二次大戦後に展開された一連のジオデシック・ドームである。それらは、スペース・フレームの原理にのっとって、木材、合板、アルミニウム、ペーパーボード、プレストレスト・コンクリート、さらに竹など多種多様の材料で作り出したものであった。その最大のものは、ルイジアナ州、バトン・ルージュにあるが、直径は384フィートで、1958年に作られたものである。その他にも、テンセグリティや、今日一般的に見られるドームスタジアムの開発・設計、オクテットトラス構造の特許を取得し、世界各地にオブザーバー、提案者として請われ広範に活動した。また、彼はその生涯においてクロノファイルと名づけた詳細な自らの活動の記録(日誌)を膨大な量残したことでも知られる。 それらは、バックミンスター・フラー・インスティテュートに保管されている。晩年には世界中で講演し、また数多くの名誉博士号を受けた。しかし、その業績は然るべき評価を受けたとは言い難く、彼の発明のほとんどは生産されず、また関わったほとんどの分野(建築など)では厳しい批評に晒されるか、ユートピア主義者とされ無視された。しかし、彼の特許やそうでなくても、提案されたコンセプト等は現在の社会の大きな要素となっているものも少なくない。「炭素60」(C60)と呼ばれる炭素のクラスター状分子はジオデシック・ドームと同じ構造を持つことから、彼にちなんで「バックミンスターフラーレン(フラーレン)」または「バッキー・ボール」と命名された。フラーは独特の富の概念を公言していた。それは、一般的に私たちの大部分に認められている貨幣ではなく人間の生命を維持・保護・成長させるものとした。それらを達成するための衣・食・住・エネルギーを、そして究極的にはより効率的に成し遂げるための形而上的なものであるノウハウの体系であるテクノロジー、それ自体が更に発展し続ける、それこそが「富」の本質であるとした。「自分の時間をより有効な探査的な投資に解放すれば、それは自分の富を増やすことになる」この言葉にも彼の独特の富の概念が現れている。1983年7月1日、ロサンゼルスで死亡。87歳。同年、妻アン死亡。

バックミンスター・フラーは建築家としての業績が最も有名で、1959年のモスクワ万博アメリカ館にジオデシック・ドームが採用され、1967年のモントリオール万博アメリカ館の設計を手がけました。著作では「宇宙船地球号」という言葉を一般に広めたことが、挙げられます。、『宇宙船地球号操縦マニュアル』はちくま学芸文庫から出版されていますので、ごく簡単に手に入ります。彼はこの本の中で、地球と人類が生き残るためには、個々の学問分野や個々の国家といった専門分化された限定的なシステムでは地球全体を襲う問題は解決できないことを論じ、地球を包括的・総合的な視点から考え理解することが重要であり、そのために教育や世界のシステムを組みなおすべきだとしています。彼は化石燃料や原子力エネルギーや鉱物資源などの消費について、地球の歴史とともに蓄えられてきた有限な化石資源を燃やし消費し続けることの愚を説き、これらの資源は新たな資源を地球外部(太陽など)から獲得するためだけに使われるべきだとした。彼は人類が石油やウランといった貯金を切り崩すことなく、地球外から得るエネルギーの収入だけで生活できる可能性がすでにあるのに、現存する経済や政治のシステムではこれが実現不可能であると述べ、変革の必要性を強調した。フラーは社会主義的なユートピア思想の持ち主であり、脱原発などのエネルギー問題が取り上げられる現在においても、非常に革新的な思想家として注目されると思います。ただ、残念ながらフラーが理想としたような、地球外部からだけによるエネルギーシステムは、まだ開発されていません。墓碑銘にある「trimtab」とは、船舶において舵自体につける更に小さな舵のことです。タンカーなどの巨大な船はその舵も船体の大きさに比例して巨大なものになりますが、その舵に更に小さい舵をつけることで水の抵抗をコントロールし、元の舵自体をより少ない動力で動かすことができるようになります。これになぞらえて、フラーはか弱い個人でも最大限の決意を持って正しいことを行えば、人類という巨大な船を動かしうると主張しました。また、この「小さな部分が、巨大な全体をわずかな力で動かす」という働き自体をトリムタブと呼び、フラーは著作で頻繁に使用しています。この墓碑銘は自らを小さいながらも、世界を動かす機構とみなした彼らしい言葉であるでしょう。
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Category: 畠山首席参謀主筆! 立戦研連載企画 《今日の辞世の句》

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